クールな公爵様のゆゆしき恋情2

「痩せすぎでしたね。孤児院だから十分な食事が取れ無いのは仕方無いのかもしれませんけど、それにしても違和感がありましたよ。ヒルト男爵家の管理は駄目ですね」

「アンナ……」

歯に衣着せないアンナの発言に苦笑いしながら、私はヘルミーネ様のことを考えていた。

有能そうな彼女なのに、どうしてこの状況を改善しないのだろう。

気付いていない? 
でも、アレクセイ様が言うには、彼女はリードルフの街のあらゆる事に通じているのだ。

孤児院の状況を把握できないわけがないと思うけど……。

「このままだと子供たちが気の毒です。ラウラ奥様からヒルト男爵に注意した方がいいのでは?」

「そうね、まずはアレクセイ様に相談してみるわ」

私がそう答えた直後、大量の資料を持った院長が戻って来た。

アンナは何事も無かったように口を閉ざし、私も不審感を隠して院長の報告に耳を傾けた。
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