クールな公爵様のゆゆしき恋情2
院長からは、ここ数年の孤児院の収支報告や、子供達の暮らしぶり、独立先についてなど細かく報告を受けた。

聞いている限りでは、特に問題はないように思える。

その為、違和感を覚えながらも詰問することは出来ないまま、院長に見送られリンブルグ孤児院の玄関を出た。

広場にはもう子供達はいなかった。

閑散とした広場の先に私の乗って来た馬車と、護衛の騎士達がいるだけだ。

なんだか後味悪い視察だったな……フェルザー公爵夫人としての初めての視察で、楽しみにしていたのに。

もっと子供達と触れ合い、話を聞いてあげたかったし、困ったことがあれば、相談にのってあげたかった。

贈り物として持って来た御菓子や刺繍糸も、本当は手渡したかった。

落胆しながら馬車に乗り込んだ。



騎士達の先導で馬車が走り出す。

頬杖をつきながら車窓から外の景色をなんともなく眺めていると、それまで順調に進んでいた馬車がぐらりと大きく揺れて急停車した。

「……何かしら?」

こんな時は、無闇に馬車から出ないほうがいいと言うことは分かっているのだけれど、何が起きているのか気になってしまう。

そっと窓から外の様子を伺った私の視界に
意外な人物が映り込む。少し驚きながら馬車の扉を開き外へ出た。
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