クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「リンブルグ?……東部の孤児院のことですか?」

ヘルミーネ様は先ほどまでとはうって変わって、浮かない顔になる。

ルカの話から予想はしていたけれど、この話題に興味がないのは明らかだ。

「ええ。午前中に慰問したのですけれど、子供達の待遇に問題があり急ぎ改善の必要があります」

「リンブルグはハルトマン院長の管理で特に問題は起きていないはずですが」

ヘルミーネ様は私の主張を全く取り合う気はないように、きっぱりと言う。

「いいえ、よくない状況でした。ヘルミーネ様へも子供達からの訴えが有ったのではないですか?」

ルカの話を思い出しながらそう言うと、ヘルミーネ様は気に障ったのか顔をしかめた。

「子供達からの要求はよくあることです。ですが殆ど過度な要求ばかりです。難癖をつけて少しでも楽をしたいだけ。いちいち取り合っている暇も余裕もこのリードフルにはありません。ラウラ様も何を言われたのかは知りませんが、真に受けないで下さい」

「過度な要求ではありません。私は子供達に訴えられただけでなく、この目で見てそう判断しました。改善は急務です、アレクセイ様にはできるだけ早く対応して貰うように話していますが、動けるようになるまでは私があの孤児院の手助けをしたいと思っています、ヘルミーネ様もご了承くださいね」

一気に言うとヘルミーネ様の顔が固く強張り、何か言い換えそうと口を開きかける。

けれど思い直したのか、私ではなくアレクセイ様に対して問いかけた。

「アレクセイ様、ラウラ様のお話はどういう事なのでしょうか? 今の私達には、孤児院のことなどに労力を裂いている暇はありません。その事はアレクセイ様自身がよくお分かりのはず、それなのになぜラウラ様の行動をお止めにならないのですか?」

言葉遣いは丁寧だけれど、内容はアレクセイ様を非難するもの。

配下の者でありながら、ここまではっきりと主張するヘルミーネ様に対して私は戸惑いを隠せない。

「領民が困っているのだからなんらかの手を打つのは領主として当然だ。ヘルミーネの言う通り、今は直ぐに動けない状況だから、ラウラに任せているんだ。何か問題があるのか?」

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