クールな公爵様のゆゆしき恋情2
公爵夫人として、王都や周辺の領地の貴族と交流を図る為、手紙を書いたり、贈り物の手配は、マイヤー夫人の助言を受けながら少しずつはじめているけれど、それだけではなく、もっとアレクセイ様の手助けをしたい。
彼の隣に立つのに相応しい妻になりたい。
そんな気持ちをこめて訴えると、アレクセイ様は少し考え込んでから、口を開いた。
「近い内に、リードルフの街に視察に行く。ラウラも一緒に行かないか?」
「視察ですか?」
思いがけない申し出に私が戸惑っていると、アレクセイ様はとても良い案を思いついたとでも言うように、機嫌よさそうな弾む声を出した。
「リードルフはフェルザー領にとって重要な街だ。ラウラにも見ておいて欲しい」
「あ……そうですね! 私はまだフェルザー領のことを良く分かっていませんから視察に同行させて頂ければ良い勉強になります」
フェルザー公爵夫人として、領地のことを知るのはとても重要だ。
「是非、同行させてください」
意気揚々と言うと、アレクセイ様も楽しそうな様子で頷いた。
「ああ。余裕を持った日程を組んで、観光もしような」
「……え?」
「忙しくて新婚旅行にも行けてないだろう? ついでにふたりでいろいろな風景を見て回ろうな。ラウラが頑張る気になっているのは分かったが、休息も必要だ、めりはりが大事だからな」
「あ……はい、そうですね。視察のついででしたら観光も良いかと」
「出発は半月後だ。楽しみだな」
「はい」
なんだか少しアレクセイ様の目的が変わって来ているような気もするけれど、フェルザー公爵夫人として初めての視察であることに代わり無いのだから精一杯努めたい。
早速、視察先のリードルフについて勉強しなくては。
アレクセイ様の良い妻、良い領主夫人となる為に頑張らなくては。