クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「ラウラ様にリンブルグを任せるのは、西に近づけない為ですか?」
答えないアレクセイ様に構わず、ヘルミーネ様は高揚しているのか更に声高に言う。
「今回、初めてアレクセイ様のお考えを理解出来ないでいました。ですが漸く分りました。ラウラ様にロイセンの件を黙ったままリンブルグを任せる……それは最も重要な部分から遠ざける為の名目を作るためなのですね?」
「今夜は特によく喋るな……だが、その話をラウラにはするなよ」
アレクセイ様はため息まじりに言う。
でも、言っていることは、ヘルミーネ様の言葉を肯定しているようなもので、私は傷付かずにはいられない。
「勿論ですわ。ラウラ様には気分よく東に行って頂きましょう。その方がこちらとしても都合が良いですから。アレクセイ様、さすがですわ」
ヘルミーネ様の声が私が聞いたことが無いような、機嫌の良さそうな明るいものになる。
対してアレクセイ様の声は、疲れているような気だるげなものだ。
「……もういいだろう。下がってくれ」