クールな公爵様のゆゆしき恋情2
院長達は止めたそうにはしていたけれど、私は気にせず子供達が働いていると言う鉱山に向うことにした。

孤児院から直ぐ近くにあるその採掘現場には、馬車だとあっと言う間に到着した。

馬車から降り周囲を見回す。
第一印象としては、昨日視察に行った西の採掘場よりも規模が小さく、活気も感じられずどこか寂しい。

ルカ達の姿は見当たらない。

西の採掘場では子供は地下に入れないと言っていたけれど、ここも同じ扱いとは限らないから、地下に降りているのかもしれない。

ルカの必死の訴えを思い出すと、かなり無理な労働を強いられていると予想出来るから。

しばらく様子を伺っていると、地下の入り口から、子供が大きな箱を抱えて上がってくるのが見えた。

子供は箱を入り口近くの荷場車に積むと、また地下に戻ってしまったけれど、入れ違いに別の子供が上がって来て、同じように抱えていた箱を荷馬車に積み込んだ。

「あの子達は何をしているのかしら」

「聞いてきます」

私の呟きに反応したアンナが、小走りに地下入り口のほうに向かって行く。

こういう時、アンナの行動力は頼りになる。

アンナはそれ程時間をかけずに、年若い男性をひとり引き連れて戻って来た。

「ラウラ奥様、こちらはこの採掘場の管理人ラフスキーさんです」

アンナの紹介に合わせて、ラフスキーと呼ばれた男性が礼をしてくる。

色黒でかっしりした体躯の彼は、恐縮しているのか身を竦めながら、頼り無い声を出した。

「あの……公爵夫人が聞きたいことがあると伺いました。なんなりとお申し付けください」

「ありがとう。早速窺いたいのだけど、リンブルグ孤児院の子供達はどこ?先ほど地下から上がってくる子供をふたり見たけれど、皆地下で働いているのかしら?」

「ええと……子供達は発掘した鉱物を運んでいます」

ラフスキーさんは緊張の面持ちで答える。

ただあまり話し上手ではないみたい。短的過ぎて詳細が全く不明だ。

「地下で発掘した鉱物を、子供が地上まで運んでいるの?」

「はい」

言葉は少ないけれど、ラフスキーは聞かれたことは素直に答えるようだ。

彼の場合は自発的に話すのを待つより、必要な事をこちらから聞いた方が早い。

「鉱物の運搬はトロッコなどを使っていると聞いていたのだけれど、なぜここでは子供が?」

「公爵夫人がおっしゃっている設備は栄えている西側の鉱山のものです。東側にはそのような設備がないところもあり、ここにも有りませんので人力で運んでいます」
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