クールな公爵様のゆゆしき恋情2
地下からは、予想していたよりずっと多くの子供が上がって来た。

リンブルグ孤児院の、殆ど全ての子供達が居そうだ。

その中に、ルカと彼の妹エミリちゃんの姿を見つけた。

エミリちゃんは泣いていて、ルカが肩を抱いて慰めているように見える。

その様子に胸を打たれていると、ルカが何気無くこちらを振り向いた。

その瞬間、彼の目が大きく見開かれる。

それに釣られるように、私は急ぎ足で彼等に近付いて行く。

「あっ、公爵夫人!」

ラフスキーさんの声が聞こえたけれど、振り返らずに真っ直ぐルカ達のもとへ向かう。

地上に上がり思い思いの場所に座り込んでいた子供達も、私に気付き始めたようで、視線が集中するのが分る。

私はルカの近くで立ち止まると、彼とその他年長と思われる数人に声をかけた。

「お疲れさま。休憩中で申し訳ないけど少しお話してもいい?」

「は、はい」

ルカ以外の子供達は、緊張した様子で身体を固くしたまま首を縦に振る。

「ラフスキーさんに聞いたのだけど、皆は運搬の仕事を手伝っているのね」

「はい。地下に何箇所か発掘現場があるので、私達も数人ずつのグループに分かれて運んでいます」

声をかけた年長の子達の中でも一番大人びた雰囲気の女の子が、しっかりとした口調で答えた。
「そう。仕事は大変でしょう? 休み時間はちゃんと貰っている? 何か困っていることはない?」
< 85 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop