クールな公爵様のゆゆしき恋情２
「それで聞きたいことって何ですか？」

「先ほど子供達と労働環境について話したの。昔と違い最近は子供達の負担が多く辛そうだったわ。あなたはリンブルグの出身だし、この鉱山で働いていると聞いています。いつ頃から労働環境が酷くなったのか知っている？　それからなぜ変わったのか」

黙って私の話を聞いていたイザークは、しばらくすると苦笑いのような表情になった。

「それを話したら何かが変わるのか？」

「え？」

「この鉱山もリンブルグも変わったよ。でもそれを話したとして公爵夫人に変えることは出来るのかって聞いてるんだけど」

イザークはそれまでの飄々とした態度を捨て、試すような目で私を見る。

「奥方様に対してその口の聞き方はなんだ！」

護衛隊長が激高するのを横目で見ながら私は、正直に現状を告げた。

「私には公爵本人のような権限は無いけれど、子供達のことはこのままにしておけない。なんとかしたいと思っているわ」

「貴族のお姫様が孤児のことなんて気にするんだ？」

どこか馬鹿にしたようなその言いように、私は眉をひそめて言い返す。

「お姫様って言われるのは嫌いだわ。私はフェルザー公爵夫人で、ラウラって名前もあるわ。そして子供達の事を本当に心配しているわ。それが孤児だからとかは関係ない。別におかしな事ではないでしょう？」

「へえ……意外に気が強いんだ」

「強くはないけど、弱くもないわ」

すぐさま言い返すと、イザークは再び「意外」と呟く。

「それで話してくれるの？」

答えを急かすと、イザークは楽しそうに目を細めて言う。

「話しますよ、ラウラ様。そろそろ大人しくしないとそこの怒り狂った護衛隊長に切られそうだし」

イザークは顔を赤くする隊長をチラリと見てから、私の質問に答え始めた。
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