クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「でも、新たな輸送手段が出来たわけではないんでしょう? 急に採掘量を増やしても運べないのではない?」

私の疑問はイザークも感じていたようだ。

「それは皆思ってる。でもハルトマン院長は更に採掘スピードを上げろといっているし、俺達が知らないだけで何か方法が有るのかもしれない」

「どんな方法が? 陸路で他領に運ぶにもこの東側は道路が整備されていないから遠回りになるし、西側の川に運ぶのも同じくらい時間がかかりそうだわ」

イザークもその辺は分らないのか、答えないするとアンナが割り込んで来た。

「東側にも川があるそうじゃないですか。それを使ってるんじゃないですか?」

「西の川は輸送に使わないそうよ。東と違って流れが早くて船で進むのが危険だそうなの」

私は昨日、西側鉱山の視察で得た知識を口にしたけれど、釈然としなかった。

それならなぜ採掘量が増えたのだろう、と思うのだ。

子供達に無理をさせてまで、どうして必死に発掘するの?

……考えても分らない。

だけど、おかしな点に気がついた。

このリードルフの鉱物採掘量は、半年前から減少している。

それなのに現場での採掘量が実際は増えている。これはどういう事なのだろう。
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