クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「あなたはハルトマン院長の事もヘルミーネ様のことも信用していないようね」

「まあ、そうですね。半年もの間子供達をこき使って平気な顔をしているような人間を信頼は出来ないですね」

イザークは淡々と言うけれど、内心は強い怒りを持っているのかもしれない。

「……分ったわ。ハルトマン院長には気をつけるわ、忠告ありがとう」

「いいえ。それでこれからどうするんですか? 子供達を救う方法は見つかりましたか?」

イザークは私をじっと見つめながら言う。

まるで、見定められているような視線。

「やはりハルトマン院長と話をするわ。いくつか気になる点は有るけれど、それを調べる間も子供達の疲労は溜まっていってしまうから、まずは労働時間を減らすように話してみるわ」

「ハルトマン様が、ラウラ様の命令に素直に従うとは思えませんけど」

「私と言うより、フェルザー公爵家の意向だと伝えるわ。ハルトマン院長だって簡単に無視は出来ないでしょう?」

「そうかもしませんけど……でも、従うふりをして実際は命令を無視するかもしれない」

「そうね、だから私が毎日様子を見にくるわ」

「監視?……はは、ハルトマン様も大変だ」

イザークは小さく笑う。

「そうね、きっと院長は嫌がるわ。でもしばらくはそうするつもりよ」

アレクセイ様がこちらの問題に本腰を入れてくれるまでは、それで繋いでいくしかない。

「……公爵閣下はどうしているんですか? 一度も姿を見かけていませんが」

「いろいろと仕事が立て込んでいて忙しいの。落ち着いたらこちらにも来るはずよ」

「そうですか」

イザークが、浮かない表情になる。

「フェルザー公爵に何か訴えたいことがあるの?」

「いえ、何も有りませんよ。それよりハルトマン院長との面談、気をつけてください」

「ありがとう。でも大丈夫よ」

何か有ったとしても、私の近くには精鋭の護衛騎士がいる。
危険な目に遭う可能性は殆どないはずだ。
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