クールな公爵様のゆゆしき恋情2
「それは違うわ。確かに私は良い公爵夫人にならなくてはと焦っていましたが、もうそんな気負いを捨てたのです。私はいつでも私らしくありたい。そのことに気付いたから私はリンブルグ孤児院に通うのです」
「何をおっしゃっているのか分りません。とにかく孤児のことで私の手を煩わせるのは辞めていただきたいのです」
うんざりしたような溜息を吐きながらヘルミーネ様は言う。
その態度はとても主家の人間に対するものではない。
結局彼女は私の事など一切認めていないのだ。そして侮っている。
そんな彼女にこれ以上私が何を言っても無駄。
そう察した私は、ヘルミーネ様に提案をすることにした。
「私はこれからリンブルグ孤児院に向かいます。あなたにも同行してもらいたいわ」
「何故私が?」
信じられないといった様子のヘルミーネ様。
「私がいくら言っても何も信用出来ない様子なので。それならご自分の目で確かめたらいいのだわ」
ヘルミーネ様は私を睨みながら即答する。
「お断りします。私にはその様な無駄な時間は有りませんので。リンブルグの件はアレクセイ様に報告しますわ」
そのまま腰を浮かせ、部屋を出て行こうとする彼女を、私はそれまでより一段強い声で呼び止めた。
「待って。勝手な退出は許さないわ」
ゆっくりと立ち上がる私に、ヘルミーネ様は唖然として佇む。
「言い方を変えます。リンブルグへの同行はお願いではなく、命令です。あなたは直ぐに支度を整え馬車寄席に降りて来てください」
「め、命令? 何の権利があってそんなことを……」
ヘルミーネ様は声を震わせる。私には初めて見せる動揺した姿。
私は少しだけ目を細めて再び言った。
「私はフェルザー家の女主人です。ヒルト家はフェルザー家の配下。あなたは私の命令に従う義務があります」
私に命令される事が屈辱なのか、ヘルミーネ様の顔が蒼白になる。
それから唇をかみ締めると、「承知致しました」と小声で破棄捨て、足音荒く部屋を出て行った。
「何をおっしゃっているのか分りません。とにかく孤児のことで私の手を煩わせるのは辞めていただきたいのです」
うんざりしたような溜息を吐きながらヘルミーネ様は言う。
その態度はとても主家の人間に対するものではない。
結局彼女は私の事など一切認めていないのだ。そして侮っている。
そんな彼女にこれ以上私が何を言っても無駄。
そう察した私は、ヘルミーネ様に提案をすることにした。
「私はこれからリンブルグ孤児院に向かいます。あなたにも同行してもらいたいわ」
「何故私が?」
信じられないといった様子のヘルミーネ様。
「私がいくら言っても何も信用出来ない様子なので。それならご自分の目で確かめたらいいのだわ」
ヘルミーネ様は私を睨みながら即答する。
「お断りします。私にはその様な無駄な時間は有りませんので。リンブルグの件はアレクセイ様に報告しますわ」
そのまま腰を浮かせ、部屋を出て行こうとする彼女を、私はそれまでより一段強い声で呼び止めた。
「待って。勝手な退出は許さないわ」
ゆっくりと立ち上がる私に、ヘルミーネ様は唖然として佇む。
「言い方を変えます。リンブルグへの同行はお願いではなく、命令です。あなたは直ぐに支度を整え馬車寄席に降りて来てください」
「め、命令? 何の権利があってそんなことを……」
ヘルミーネ様は声を震わせる。私には初めて見せる動揺した姿。
私は少しだけ目を細めて再び言った。
「私はフェルザー家の女主人です。ヒルト家はフェルザー家の配下。あなたは私の命令に従う義務があります」
私に命令される事が屈辱なのか、ヘルミーネ様の顔が蒼白になる。
それから唇をかみ締めると、「承知致しました」と小声で破棄捨て、足音荒く部屋を出て行った。