強引ドクターの蜜恋処方箋
2章
「実はさ、今資格取ろうと思って勉強してるんだ」

ふわふわの前髪を掻き上げてそう話す彼女は、上原マリ。

大学時代の同級生だ。

マリは一浪して入ってきたから私よりも一つ年上だけど、入学式で顔を合わせた日から意気投合した数少ない親友の一人だ。

生クリームがたっぷりのったパンケーキをナイフで切りながら、目だけマリの方に向けた。

「へー。マリも30前に資格だなんて、一念発起、勇気ある行動じゃない。で、どんな資格を取ろうと思ってるの?」

切り分けたパンケーキで生クリームをすくい、そのまま口に頬ばった。

「ふふふ。何だと思う?」

「マリは今保育士やってるでしょ?だから子ども関係の資格か何か?」

「ぶっぶ-。全然違うの。子どもとは全く関係なし。ほら、私の大好きな趣味よ。大学の時は、保育士の道に進むか、もう一方の道に進むか迷ってたの覚えてない?」

「ん~・・・あ、思い出した!インテリア関係?」

マリは、にんまり笑うと、紅茶を一口飲んで、

「ピンポーン!」

と言った。

インテリアって?

確かに、学生時代からインテリアに凝っていたマリの住む部屋はモデルルームのごとく美しくおしゃれなインテリアで溢れていた。

そういえば、自分の保育園の保育室もこじゃれた室内にコーディネートして、去年だったか地方新聞にも紹介されたこともあったっけ。

「もしかして、インテリアコーディネーター?」

そう言うと、私は甘ったるい口をリセットするためにレモンティーを飲んだ。

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