強引ドクターの蜜恋処方箋
電話を切った後、明日先輩に提出する計画表の残りを仕上げた。

リビングの窓から夜空を見上げる。

天気がいいせいか星が鮮明に瞬いていた。

雄馬さんのいる北海道もきれいな星空が広がっているのかな。

この空は、きっとオーストラリアまで繋がっている。

なんだか不思議だった。

見えなくてもどこまでも続く空。

皆が繋がってるような気がした。

そう思ったら、なんだかホッとして急に睡魔に襲われる。

星空に「おやすみ」とつぶやいて、リビングの電気を消した。



雄馬さんが帰って来る日。

オペが立て込んでいたせいもあって残業だった。

定時はとっくに過ぎていたけれど、今日中にやらなければならない仕事はまだ終わっていない。

先輩が心配そうに私とユウヒがやってる作業をのぞきにきた。

「どう?そろそろ終われる?」

「あ、はい。あともう少しです」

私は笑顔で答えた。

先輩はこくんと私を見て頷くと、「ちょっと部屋回ってくるわね」と言って入院患者の検診に戻っていった。

時計を見ると、20時過ぎたところだった。

疲労の色が濃くなっていたユウヒに「ユウヒの分もやっておくから」と先に帰らせる。

誰もいないナースセンターで一人黙々と書類の整理をした。

さてと。

そろそろ終わりだな。

書類を揃えて、出していた文房具を片づける。

雄馬さんはもう帰っている頃だろうか。

先輩看護師達に挨拶をして更衣室へ向かった。

スマホを見ると、雄馬さんからのLINEが届いていた。

『今家に帰りました。何か夜ご飯買っとこうか?』

やっぱり先に帰ってたのね。

すぐに返信をした。

『今から帰ります。買い物して帰るけど何か食べたいものある?』

しばらく返信を待っていたけれど、既読する様子もない。

疲れてソファーで寝ちゃったかな。

まぁ、適当に買って帰ろう。

ダウンコートを羽織って病院を出た。











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