強引ドクターの蜜恋処方箋
母の姿が見えなくなると、雄馬さんは「歩こうか」と言って私の手を握りベンチから腰を上げた。
手を繋いでこんなゆったりとした気持ちで歩くのはなんだか久しぶりのような気がした。
今日は日曜とあって、公園には小さい子供連れの家族であふれていて賑やかな声が響いている。
「チナツ、少しの間目をつむってて」
雄馬さんは私の耳元で言った。
「なんだかドキドキする」
私は目をつむると、雄馬さんの手を強く握った。
小石を踏みしめる2人の足音が重なる。
甘い色の風を感じた。
「いいよ。目を開けて」
固く閉じた目をゆっくりと広げていった。
「わぁ」
目の前に一面桃色の桜並木が続いていた。
ここ?
同じような景色を見たことがある。
「前にも一度連れてきたんだけど、覚えてる?」
雄馬さんは優しい眼差しで私を見つめた。
「ええ、確か、以前は・・・」
何処までも続く桜を眺めながら、そして雄馬さんの手のぬくもりを感じながら。
「あ」
「思い出した?」
私は雄馬さんの目を見つめて頷いた。
「チナツの恋人役をした後連れてきた場所。あの時は秋だったから一面紅葉してたけどね」
「そうだったわ。日の落ちる直前のオレンジに染まった紅葉がとてもきれいだった」
桃色の花びらが舞う中を、雄馬さんは私の手を握って歩き出した。
しばらく行くと、大きな一本桜。
「俺はここで一緒に試験勉強がんばらないか?ってチナツに言ったよな」
私達はその大きな一本桜を見上げた。
桜の木は、あの時と変わらない悠然とした姿で桜の花びらを満開にさせて立っていた。
「そして言ったんだ、俺だけのチナツになってほしいって」
そう言うと、雄馬さんは潤んだ瞳で私の目を見つめた。
「その気持ちは今も変わらない。むしろあの時以上に強く思ってる」
雄馬さんは私の手をほどき、自分のジャケットのポケットから四角いピンク色のビロードの箱を出した。
そっと開けたその箱の中には、キラキラ光るダイヤの指輪が入っていた。
「これは・・・?」
声が震えた。
あまりに光り輝くダイヤを前に、私は両手で口を押さえる。
雄馬さんは箱から指輪を取り出し、私の左手の薬指にはめた。
「改めて・・・」
釘付けになっていた指輪から雄馬さんの方に視線を上げた。
雄馬さんは、少し咳払いをして私を正面から優しく見つめた。
「俺と結婚して下さい。一生をかけて、どんなことがあっても俺がチナツを守る。この指輪に誓って必ず幸せにするよ」
体中が震えた。
世界中が桜色に染まり、全ての人が暖かい日差しに包まれている。
そんな情景が脳裏に広がっていった。
「はい。よろしくお願いします」
私は雄馬さんの目を見つめながら答えた。
雄馬さんは目を細めて微笑むと、私を優しく抱きしめてささやいた。
「いつまでも一緒にいよう」
私は雄馬さんの耳元で言ってみた。
「雄馬さんを・・・愛してる」
春の風が桜の花びらと一緒に私達の周りを楽しげに回っている。
雄馬さんの背中に回した薬指のダイヤは桜色に眩く輝いていた。
手を繋いでこんなゆったりとした気持ちで歩くのはなんだか久しぶりのような気がした。
今日は日曜とあって、公園には小さい子供連れの家族であふれていて賑やかな声が響いている。
「チナツ、少しの間目をつむってて」
雄馬さんは私の耳元で言った。
「なんだかドキドキする」
私は目をつむると、雄馬さんの手を強く握った。
小石を踏みしめる2人の足音が重なる。
甘い色の風を感じた。
「いいよ。目を開けて」
固く閉じた目をゆっくりと広げていった。
「わぁ」
目の前に一面桃色の桜並木が続いていた。
ここ?
同じような景色を見たことがある。
「前にも一度連れてきたんだけど、覚えてる?」
雄馬さんは優しい眼差しで私を見つめた。
「ええ、確か、以前は・・・」
何処までも続く桜を眺めながら、そして雄馬さんの手のぬくもりを感じながら。
「あ」
「思い出した?」
私は雄馬さんの目を見つめて頷いた。
「チナツの恋人役をした後連れてきた場所。あの時は秋だったから一面紅葉してたけどね」
「そうだったわ。日の落ちる直前のオレンジに染まった紅葉がとてもきれいだった」
桃色の花びらが舞う中を、雄馬さんは私の手を握って歩き出した。
しばらく行くと、大きな一本桜。
「俺はここで一緒に試験勉強がんばらないか?ってチナツに言ったよな」
私達はその大きな一本桜を見上げた。
桜の木は、あの時と変わらない悠然とした姿で桜の花びらを満開にさせて立っていた。
「そして言ったんだ、俺だけのチナツになってほしいって」
そう言うと、雄馬さんは潤んだ瞳で私の目を見つめた。
「その気持ちは今も変わらない。むしろあの時以上に強く思ってる」
雄馬さんは私の手をほどき、自分のジャケットのポケットから四角いピンク色のビロードの箱を出した。
そっと開けたその箱の中には、キラキラ光るダイヤの指輪が入っていた。
「これは・・・?」
声が震えた。
あまりに光り輝くダイヤを前に、私は両手で口を押さえる。
雄馬さんは箱から指輪を取り出し、私の左手の薬指にはめた。
「改めて・・・」
釘付けになっていた指輪から雄馬さんの方に視線を上げた。
雄馬さんは、少し咳払いをして私を正面から優しく見つめた。
「俺と結婚して下さい。一生をかけて、どんなことがあっても俺がチナツを守る。この指輪に誓って必ず幸せにするよ」
体中が震えた。
世界中が桜色に染まり、全ての人が暖かい日差しに包まれている。
そんな情景が脳裏に広がっていった。
「はい。よろしくお願いします」
私は雄馬さんの目を見つめながら答えた。
雄馬さんは目を細めて微笑むと、私を優しく抱きしめてささやいた。
「いつまでも一緒にいよう」
私は雄馬さんの耳元で言ってみた。
「雄馬さんを・・・愛してる」
春の風が桜の花びらと一緒に私達の周りを楽しげに回っている。
雄馬さんの背中に回した薬指のダイヤは桜色に眩く輝いていた。