強引ドクターの蜜恋処方箋
マリと別れた後、ぶらっと本屋に寄った。

なんとなしに、資格本のブースに足を向ける。

『看護師』に関する書籍が何冊か並んでいる。

その一冊をそっと手に取った。

なるためには、やっぱり勉強しなきゃならない。

まずは会社を辞めて、看護学校に入学して課程を全部修了して、それから晴れて看護師になれる。

道のりは険しくて遠い。

今の私には想像するのすら恐ろしい目標。

看護師になる頃には何歳になってんだか。

軽くため息をつきつつも、マリに言われた言葉が脳裏にこびりついて離れてなかった。

『後悔しない人生を歩んで行こうね』

後悔しない・・・か。

今の私はどうだろう?

とびきり今の自分に満足しているかといえば、そうとは言えなかった。

かといって、今の自分を飛び出す勇気もない。

人生の終わりに、もし今の自分のままだったとしたら後悔はない?

気がつくと、手に取った『看護師になるために』という本を持ってレジに向かっていた。



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