強引ドクターの蜜恋処方箋
「ここでいい?」

駅前の本屋から少し歩いた場所に広い公園があって、その公園の入り口のすぐ横に洋館風の建物が建っている。

その建物の玄関横には「CAFE」の文字が言われなきゃわからないくらいに遠慮がちに書かれてあった。

・・・素敵。

隠れ家的なカフェ。周囲の緑に紛れるようにそのカフェはおしゃれにたたずんでいた。

思わずその素敵な雰囲気に気後れして立ちつくしていると、

「どうした?気に入らない?」

松井さんは心配そうな顔で私の目をのぞき込んだ。

まともにそのきれいな顔が目に飛び込んできて、顔が熱くなった。

田村さんが言ってた「眼鏡を外したらすごいイケメン」っていう言葉が蘇ってくる。

「・・・いえ。すごい素敵なカフェで、思わず見とれちゃってました」

慌ててそう答えると、恥ずかしくなってうつむいた。

松井さんはそんな私を見て、くすっと笑うと、

「よかった。じゃ、入ろう」

と言って、その木の扉をゆっくりと押し開けた。

かわいらしい女の店員さんがすぐに松井さんに駆け寄って挨拶をした。

常連なんだろうか。

店員さんも松井さんにとても丁寧に、そしてほんのり頬を染めて対応していた。

松井さんは私の方に顔を向けると、

「一番お薦めの窓際の席が空いてるって」

と言った。

お薦めの窓際の席?

私達は階段を上った2階の大きな窓に面したカウンター式のテーブルに案内された。

窓からは、緑いっぱいの公園が一望できる。

間違いなく癒される光景が広がっていた。
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