強引ドクターの蜜恋処方箋
ホテルのロビーに着くと、金曜の夜とあってかソファーは全てスーツを着たサラリーマンらしき人達に占領されていた。
この場所は、ひょっとしたら皆待ち合わせでよく使うのかもしれない。
ホテルで待ち合わせなんて、一瞬田村さんを疑ったけどそんな自分が恥ずかしくなった。
いくらなんでもそんな訳ないよね。
田村さんがホテルの部屋を予約してるなんてことは。
そう思いながらもまだ胸がざわついていた。
落ち着かない気持ちのまま、混雑しているソファー席を離れて奥のエレベーターホールの柱の前に立つ。
時計はちょうど19時を指している。なんとか遅れずに間に合った。
そろそろ来る頃だろうか。
その時、後ろから肩を叩かれた。
「ごめん、待たせたね」
田村さんだった。
濃紺のスーツにプルーのシャツを爽やかに着こなしている田村さんはやはり誰もを引きつけるオーラに包まれていた。金曜の夜だというのに、微塵も疲れを感じさせない顔で笑っている。
だけど、私は・・・。
「いえ、今来たところです」
そう答えた私の耳元に田村さんの顔が近づいた。
「今日は、チナツちゃんと二人きりでゆっくり過ごしたくて部屋を押さえてるんだ」
ドクン。
体中の血液が一瞬引き潮のように遠ざかる感覚。
まさかのまさかだった。
本当ですか??
そんなことあるはずないって思ってたのに。
思わず、どう反応していいのかわからなくて、ゴクリとつばを飲み込んでしまった。
「あの、それって。私まだ、そんな・・・」
急に自分の中の奥底に仕舞っていた警報がけたたましく鳴り始めていた。
戸惑う私を田村さんは強引に自分の腰に引き寄せる
「きゃ!」
いきなり腰に回してきた田村さんの手に声が出た。
こんな展開、想像してなかった。
田村さんの顔を見上げると、いつも田村さんじゃない。
私に何も言わせない高圧的な目が見たこともないくらいギラギラしている。
腰に回された手は、更に強く彼の方に私を引き寄せた。
「いいじゃないか。チナツちゃんも僕に惚れてるんだろ?今夜は時間もあるしたっぷり2人で楽しもう」
そう言った田村さんの口が私の耳に触れそうな程に近い。
「・・・止めて下さい」
必死に逃れようとするけれど強い力で跳ね返され、田村さんの顔が私に近づいた。
「確か、僕の部下の前田ユカは君と同期だったっけ?あいつもそそっかしい奴だからな。僕にとっちゃ、あいつなんて何かと適当に理由付けて簡単に会社から追い出せるんだよ」
ユカまで引き合いに出してくるなんて卑劣きわまりない。
やっぱりユカから聞いていた通りだ。一瞬でも信じて着いてきた私が馬鹿だった。
だけど、それ以上に田村さんが恐くて言葉も拒絶する力も出ない。
こんなに男の人が恐いと思ったことはない。色んな力で抑え込まれる。
こんなのやだ。
助けてって声も出ない。
体中が震えていた。
田村さんは強引に私をエレベーターの前まで連れて行く。
松井さん・・・助けて。
なぜだか松井さんの姿が頭の中によぎった。
あの時、どうして松井さんの誘いを断ってしまったんだろう。
でも、こんな風になっちゃったのも自分で選んだこと。
結局は全部自分の選択が悪かったんだ。あれだけユカにも言われてたのに。
エレベーターの扉が開く。
ぐっと田村さんの体に押さえつけられたまま、エレベーターの中に足を踏み入れた。
この場所は、ひょっとしたら皆待ち合わせでよく使うのかもしれない。
ホテルで待ち合わせなんて、一瞬田村さんを疑ったけどそんな自分が恥ずかしくなった。
いくらなんでもそんな訳ないよね。
田村さんがホテルの部屋を予約してるなんてことは。
そう思いながらもまだ胸がざわついていた。
落ち着かない気持ちのまま、混雑しているソファー席を離れて奥のエレベーターホールの柱の前に立つ。
時計はちょうど19時を指している。なんとか遅れずに間に合った。
そろそろ来る頃だろうか。
その時、後ろから肩を叩かれた。
「ごめん、待たせたね」
田村さんだった。
濃紺のスーツにプルーのシャツを爽やかに着こなしている田村さんはやはり誰もを引きつけるオーラに包まれていた。金曜の夜だというのに、微塵も疲れを感じさせない顔で笑っている。
だけど、私は・・・。
「いえ、今来たところです」
そう答えた私の耳元に田村さんの顔が近づいた。
「今日は、チナツちゃんと二人きりでゆっくり過ごしたくて部屋を押さえてるんだ」
ドクン。
体中の血液が一瞬引き潮のように遠ざかる感覚。
まさかのまさかだった。
本当ですか??
そんなことあるはずないって思ってたのに。
思わず、どう反応していいのかわからなくて、ゴクリとつばを飲み込んでしまった。
「あの、それって。私まだ、そんな・・・」
急に自分の中の奥底に仕舞っていた警報がけたたましく鳴り始めていた。
戸惑う私を田村さんは強引に自分の腰に引き寄せる
「きゃ!」
いきなり腰に回してきた田村さんの手に声が出た。
こんな展開、想像してなかった。
田村さんの顔を見上げると、いつも田村さんじゃない。
私に何も言わせない高圧的な目が見たこともないくらいギラギラしている。
腰に回された手は、更に強く彼の方に私を引き寄せた。
「いいじゃないか。チナツちゃんも僕に惚れてるんだろ?今夜は時間もあるしたっぷり2人で楽しもう」
そう言った田村さんの口が私の耳に触れそうな程に近い。
「・・・止めて下さい」
必死に逃れようとするけれど強い力で跳ね返され、田村さんの顔が私に近づいた。
「確か、僕の部下の前田ユカは君と同期だったっけ?あいつもそそっかしい奴だからな。僕にとっちゃ、あいつなんて何かと適当に理由付けて簡単に会社から追い出せるんだよ」
ユカまで引き合いに出してくるなんて卑劣きわまりない。
やっぱりユカから聞いていた通りだ。一瞬でも信じて着いてきた私が馬鹿だった。
だけど、それ以上に田村さんが恐くて言葉も拒絶する力も出ない。
こんなに男の人が恐いと思ったことはない。色んな力で抑え込まれる。
こんなのやだ。
助けてって声も出ない。
体中が震えていた。
田村さんは強引に私をエレベーターの前まで連れて行く。
松井さん・・・助けて。
なぜだか松井さんの姿が頭の中によぎった。
あの時、どうして松井さんの誘いを断ってしまったんだろう。
でも、こんな風になっちゃったのも自分で選んだこと。
結局は全部自分の選択が悪かったんだ。あれだけユカにも言われてたのに。
エレベーターの扉が開く。
ぐっと田村さんの体に押さえつけられたまま、エレベーターの中に足を踏み入れた。