強引ドクターの蜜恋処方箋
お茶菓子を食べ終わり、水谷先生と雄馬はソファーに移動した。
私と母は、お皿をお盆にのせてキッチンへ運んだ。
お皿を洗いながらも、ソファーの会話に耳をダンボにする。
「雄馬くんは、今後は人事部のエキスパートとして活躍してそのまま社長でも目指すのかい?」
水谷先生は半分冗談めかして松井さんに尋ねた。
「いえ、これから医師を目指そうと思っています」
え?
もうそれ言っちゃうんだ。
だって、あくまで恋人役ってことで、そんな真実情報必要ないと思ってたから。
思わず、持っていたお皿を下に落としそうになった。
「え?医師目指すってこれからかい?まさか医学部出てるってわけじゃないよね?」
水谷先生も驚きを隠せない様子で前のめりになって尋ねた。
「実はT大学医学部卒業しています。当時は事情があって国家試験を受けずサラリーマンの道を選びましたが。今は、お世話になった上司が病に倒れたのをきっかけにもう一度医師を目指そうという決意が固まりました。今更なんですが」
「いやいや、医者になるのは早やけりゃいいって訳でもない。それにしても驚いたな。T大医学部って、エリートもエリートじゃないか。そりゃ医者にならないのはもったいないよ。確か君は名字が松井だったけど、まさかあの有名な松井雄蔵教授のご子息なんてことはないだろうね?」
母が持っていったコーヒーに口をつけながら水谷先生は笑っているけど・・・
「松井雄蔵は僕の父です」
と松井さんが言った途端、水谷先生はコーヒーを吹いてしまった。
母が「あらあら」と慌てて水谷先生にタオルを持って行った。
驚くよね。普通。
「それは本当かい?いや、そりゃまたすごい方の息子じゃないか。今サラリーマンやってるなんて逆に信じられないよ」
雄馬はコーヒーカップに口を付けながら謙遜して首を横に振った。
「来年2月の国家試験を受けるのかい?」
「はい、受けようと思っています。余り時間がないので勉強に専念するために、近々今の仕事を退職するつもりです」
ええ?
退職しちゃうの?全然知らなかったよ。
胸の奥がすーっと暗闇に落ち込んでいく。
あの職場から松井さんがいなくなるなんて今は考えられなかった。
「そうか。がんばってくれよ。雄馬くんのように優秀な人間が医者になって日本の医療をもっと盛り上げていってほしい。僕が力になれることがあるなら、何でも言ってくれ。まぁ、それだけの素晴らしいお父様がいらっしゃるなら必要ないかもしれないが」
水谷先生は頭を掻きながら笑った。
松井さんは「いいえ、これからもよろしくお願いします」と頭を下げた。
私と母は、お皿をお盆にのせてキッチンへ運んだ。
お皿を洗いながらも、ソファーの会話に耳をダンボにする。
「雄馬くんは、今後は人事部のエキスパートとして活躍してそのまま社長でも目指すのかい?」
水谷先生は半分冗談めかして松井さんに尋ねた。
「いえ、これから医師を目指そうと思っています」
え?
もうそれ言っちゃうんだ。
だって、あくまで恋人役ってことで、そんな真実情報必要ないと思ってたから。
思わず、持っていたお皿を下に落としそうになった。
「え?医師目指すってこれからかい?まさか医学部出てるってわけじゃないよね?」
水谷先生も驚きを隠せない様子で前のめりになって尋ねた。
「実はT大学医学部卒業しています。当時は事情があって国家試験を受けずサラリーマンの道を選びましたが。今は、お世話になった上司が病に倒れたのをきっかけにもう一度医師を目指そうという決意が固まりました。今更なんですが」
「いやいや、医者になるのは早やけりゃいいって訳でもない。それにしても驚いたな。T大医学部って、エリートもエリートじゃないか。そりゃ医者にならないのはもったいないよ。確か君は名字が松井だったけど、まさかあの有名な松井雄蔵教授のご子息なんてことはないだろうね?」
母が持っていったコーヒーに口をつけながら水谷先生は笑っているけど・・・
「松井雄蔵は僕の父です」
と松井さんが言った途端、水谷先生はコーヒーを吹いてしまった。
母が「あらあら」と慌てて水谷先生にタオルを持って行った。
驚くよね。普通。
「それは本当かい?いや、そりゃまたすごい方の息子じゃないか。今サラリーマンやってるなんて逆に信じられないよ」
雄馬はコーヒーカップに口を付けながら謙遜して首を横に振った。
「来年2月の国家試験を受けるのかい?」
「はい、受けようと思っています。余り時間がないので勉強に専念するために、近々今の仕事を退職するつもりです」
ええ?
退職しちゃうの?全然知らなかったよ。
胸の奥がすーっと暗闇に落ち込んでいく。
あの職場から松井さんがいなくなるなんて今は考えられなかった。
「そうか。がんばってくれよ。雄馬くんのように優秀な人間が医者になって日本の医療をもっと盛り上げていってほしい。僕が力になれることがあるなら、何でも言ってくれ。まぁ、それだけの素晴らしいお父様がいらっしゃるなら必要ないかもしれないが」
水谷先生は頭を掻きながら笑った。
松井さんは「いいえ、これからもよろしくお願いします」と頭を下げた。