強引ドクターの蜜恋処方箋
そして、急に私の肩をぐっと自分に引き寄せ、

「でさ、そのイケメン松井さんとはもうキスくらいはしたの?」

なんて聞いてきた。

思わず食べていた磯辺揚げを吹き出しそうになる。

「な、何言ってんの?まだちゃんとお付き合いしてるわけじゃないし。マリ、ちょっと飲むペース早くない?」

マリ飲み過ぎなんだよ!

既に空になったワインボトルが2本もマリの前に立っていた。私はまだほとんど飲んでないのに。

このままじゃ、マリのペースに持ってかれちゃうわ。

慌てて私も自分で注いだワインを飲んだ。

「えらく動揺してるわね。その松井さんと何かあったって顔してるけど」

マリは「ふふふん」と笑いながら、不敵な笑みを浮かべた。

「まだそんなんじゃないわ。一緒に勉強がんばろうって話しただけだよ」

そう言いながら、優しく抱きしめてキスしてきた松井さんを思い出して胸のドキドキが溢れそうだった。

「おちょくるのはこれくらいにして。一緒に夢に向かってがんばろうなんて、チナツへの思いはかなり真剣ね。このままゴールインしちゃえば?今のチナツを支えてくれる頼りになるいい人だと思うよ。」

「ゴールインって・・・話飛躍しすぎだし。そこまで私もまだ考えてないわ。とりあえず。目の前の目標に向かって前進するのみ」

「ふぅん。そうなんだ。まぁ、そのうちわかることかもしれないわね」

酔っ払ったらすぐそういう達観したような物言いするんだから。

酔って今にも眠てしまいそうな目のマリを見ながら、学生の頃から変わらないなと一人で笑った。

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