強引ドクターの蜜恋処方箋
年が明け、2月の雄馬さんと私の試験がそれぞれ終わった。

雄馬さんはやはりさすがで、余裕の一発合格。

そして、私も・・・。


家でささやかに二人でお祝いしていた。

久しぶりにゆったりとした気持ちでソファーに座っている。

雄馬さんが用意してくれたワインで乾杯すると、喉の奥に一気に流し込んだ。

赤ワインと思って口に含んだら舌先にしびれるような感覚がいきわたる。

「これは?」

思わず驚いて彼の顔を見た。

「スパークリングなんだ。赤のスパークリングって珍しいなと思って買って来た」

「おいしい。こんなの初めて」

雄馬さんはそんな私を目を細めて見つめながら、自分もグラスを傾けた。

「今回の試験、チナツも仕事しながらよく頑張ったよな」

「うん、どうにか合格できて本当にホッとしました」

「会社にはいつ報告するの?」

「入学の準備もあるし、来週頭には上司に辞めるって伝えようと思ってます」

「そうだね。引き継ぎのこともあるだろうし早い方がいいだろう」

雄馬さんは頷いた。

買って来たフライドチキンやサラダを摘みながら、ようやく試験という緊張から解放されて心から安堵していた。

「俺もこれから色んな手続きや準備でまた忙しくなりそうだよ。大学時代の友人達も俺の合格喜んでくれてさ、ひっきりなしに飲みに誘われてる」

「手続きよりも飲み会の方が忙しそうですね」

私は首をすくめて笑った。

「そうかもな」

雄馬さんも笑う。

お互いいつもよりワインを飲むペースが速いような気がする。

二人で2本目が既に空になろうとしていた。

「顔が火照ってきたからベランダに出ない?」と言われて、二人並んで夜景を眺めていた。

「冬の夜景もきれいね。空気が一段と澄んでるような気がする」

キラキラと瞬く地上の光を見つめながら呟いた。

そう言った私の髪を雄馬さんは優しく撫でながら自分の胸に私を抱き寄せた。

彼の体はとても熱かった。

ワインのせい?

胸の鼓動が次第に速くなっていく。

抱きしめられることにも少しずつ慣れていははずだったのに。

今日はなんだか違う。

私も雄馬さんも。

「今この場所でこうして二人でいられることが信じられないくらいに幸せだよ」

大きな手が私の頬から耳の後ろをなで上げる。

そして、潤んだ瞳で私を熱っぽく見つめると私の顔を引き寄せ唇を塞がれた。

今までと違う激しくて深いキスだった。

必死に雄馬さんの唇と舌にこたえる。

呼吸をするのももどかしいくらいのキスはどれくらい続いたんだろう。

















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