強引ドクターの蜜恋処方箋
初日はさすがに疲れた。
指導してくれる看護師さんに計画表を見てもらい「今日はもう帰っていいわよ」と言われホッとする。
たった一日だったのに、本当に息つく暇もないくらいに忙しかった。
今日はまだ先輩看護師の仕事の補助的なことしかやってないのに。
明日からがいよいよ本番だ。入院している患者さんを1人担当することになっている。
想像以上に大変な仕事だと痛感した。
そこに飛び込んでいった私。不安だけど・・・いやいや夢に向かってがんばらなくっちゃ。
更衣室で着がえ、病院の裏口に向かった。
「お疲れ。チナツ」
後ろで声が聞こえる。
振り返ると、雄馬さんがこちらに向かってゆっくりと歩いてきた。
一瞬で疲れが吹き飛ぶ。病院内でようやく会えた。
「雄馬さん、お疲れさま。こんなところでどうしたの?」
「もちろん、こっそりチナツが帰る時間を見計らってここに来たのさ」
そう言うと私の頭を優しく撫でた。
この裏口に通じる廊下には今誰もいない。
それを確認すると、安心して雄馬さんの顔を見上げた。
だって、皆の憧れの先生と親しげにしてるところなんて他の看護師さん達に見られたら、なんとなく・・・ね。
「どうだった?初実習は」
「とにかくわからないことだらけで、忙しかったです。病院の仕事って本当に大変。明日からますます気を引き締めなくっちゃ」
「そうだね。今までチナツがやってきた仕事とは全く違うから戸惑うことも多いだろうけど、チナツなら大丈夫だよ。ゆっくり深呼吸して臨めばうまくいくはずだから」
そう言って穏やかな顔で雄馬さんは微笑んだ。
きっと私なんかよりずっと厳しい現実を突きつけられてるはずなのに、忙しくてへとへとなはずなのに、こうして私の帰りを見送ってくれる雄馬さんには感謝しかなかった。
「ありがとうございます。雄馬さんはまだ帰れないんですか?」
一緒に帰れたらいいのに。
雄馬さんは腕時計に目をやった。
「20時か。まだまだ帰れそうにないな」
「そう、ですよね」
そうだよね。
いつも日が変わる直前に帰ってくるのに。
「雄馬さんもあと少しがんばって下さいね」
「ああ、ありがとう。気をつけて帰れよ」
「うん」
と私が言い終わらないうちに、壁ドン状態で雄馬さんの顔が近づき私の唇が柔らかく塞がれる。
う、嘘でしょ?こんな場所で!病院の中だってば!
体中が一気に沸騰状態になった。
「・・・ごめん。我慢できなかった。俺も疲れてるのかな」
雄馬さんは私の動揺を察知したのかすぐに離れると、いつものクールフェイスが崩れ珍しく少し照れた顔をして苦笑した。
そんな表情に胸がきゅんとなる。
その時だった。
「ゆーうーまぁ!」
廊下の向こうから雄馬さんを呼ぶ女性の声が響き渡った。
私達は慌ててサッと距離を置いて声の方に顔を向けた。
指導してくれる看護師さんに計画表を見てもらい「今日はもう帰っていいわよ」と言われホッとする。
たった一日だったのに、本当に息つく暇もないくらいに忙しかった。
今日はまだ先輩看護師の仕事の補助的なことしかやってないのに。
明日からがいよいよ本番だ。入院している患者さんを1人担当することになっている。
想像以上に大変な仕事だと痛感した。
そこに飛び込んでいった私。不安だけど・・・いやいや夢に向かってがんばらなくっちゃ。
更衣室で着がえ、病院の裏口に向かった。
「お疲れ。チナツ」
後ろで声が聞こえる。
振り返ると、雄馬さんがこちらに向かってゆっくりと歩いてきた。
一瞬で疲れが吹き飛ぶ。病院内でようやく会えた。
「雄馬さん、お疲れさま。こんなところでどうしたの?」
「もちろん、こっそりチナツが帰る時間を見計らってここに来たのさ」
そう言うと私の頭を優しく撫でた。
この裏口に通じる廊下には今誰もいない。
それを確認すると、安心して雄馬さんの顔を見上げた。
だって、皆の憧れの先生と親しげにしてるところなんて他の看護師さん達に見られたら、なんとなく・・・ね。
「どうだった?初実習は」
「とにかくわからないことだらけで、忙しかったです。病院の仕事って本当に大変。明日からますます気を引き締めなくっちゃ」
「そうだね。今までチナツがやってきた仕事とは全く違うから戸惑うことも多いだろうけど、チナツなら大丈夫だよ。ゆっくり深呼吸して臨めばうまくいくはずだから」
そう言って穏やかな顔で雄馬さんは微笑んだ。
きっと私なんかよりずっと厳しい現実を突きつけられてるはずなのに、忙しくてへとへとなはずなのに、こうして私の帰りを見送ってくれる雄馬さんには感謝しかなかった。
「ありがとうございます。雄馬さんはまだ帰れないんですか?」
一緒に帰れたらいいのに。
雄馬さんは腕時計に目をやった。
「20時か。まだまだ帰れそうにないな」
「そう、ですよね」
そうだよね。
いつも日が変わる直前に帰ってくるのに。
「雄馬さんもあと少しがんばって下さいね」
「ああ、ありがとう。気をつけて帰れよ」
「うん」
と私が言い終わらないうちに、壁ドン状態で雄馬さんの顔が近づき私の唇が柔らかく塞がれる。
う、嘘でしょ?こんな場所で!病院の中だってば!
体中が一気に沸騰状態になった。
「・・・ごめん。我慢できなかった。俺も疲れてるのかな」
雄馬さんは私の動揺を察知したのかすぐに離れると、いつものクールフェイスが崩れ珍しく少し照れた顔をして苦笑した。
そんな表情に胸がきゅんとなる。
その時だった。
「ゆーうーまぁ!」
廊下の向こうから雄馬さんを呼ぶ女性の声が響き渡った。
私達は慌ててサッと距離を置いて声の方に顔を向けた。