強引ドクターの蜜恋処方箋
「雄馬さんは、信じられないくらい私を大事にしてくれるの」
「あんなイケメンにメロメロに思われて、聞いてるだけでお母さんまでドキドキしちゃうわ」
私は雄馬さんと付き合うことになってから、今一緒に暮らしていることを伝えた。
「え?同棲してるの?」
さすがに母はその点については目を丸くして驚いたけれど、その後優しく微笑むと、
「その方が安心だわ」と頷いた。
「チナツ、変わったわね。自分に自信をもって前に進んでるように見える」
「そうかもしれない。雄馬さんに出会ってからだと思う」
彼の言葉や手や唇に触れる度に、私はいつのまにか今の私に到達していたから。
「あなたにとって雄馬くんとの出会いは必要な出会いだったのね」
「うん、お母さんと水谷先生みたいにね」
私は舌をペロッと出して笑った。
「そうね。お母さんと水谷先生までにはまだ至らないと思うけど」
母は、顔を少し上に向けておどけた調子で私を見下ろした。
「恐れ入りました」
私は母に呼応するように笑いながら頭を下げた。
母とイタリアンレストランで別れた日、こんなにも早く今日みたいな日が訪れるなんて思いもしなかった。
私が雄馬さんからもらった色んな力を、母もまた水谷先生からもらっていたんだね。
母の穏やかな表情から、私の知らない母と水谷先生の2人の日々を想った。
尽きない話で盛り上がりながら、気がついたら雄馬さん達と合流する17時を少し回っていた。
「あ、そろそろ2人が来る時間だよね」
母も腕時計に視線を落とした。
「そうね。もうすぐ来るわね」
そう言いながら、私達はお冷やで喉を潤していた。
でも、17時半になっても18時なっても2人は現れなかった。
電話をかけるも雄馬さんの電話は留守電になっていた。
胸の辺りがざわざわしている。
なんだろう。こんなこと今までなかったのに。
不安な私を見て母は、
「きっと論文発表が押してるんだわ。もしかしたら、雄馬くん、緊急患者が入って対応に追われてるのかもしれない」
と言い、気持ちを落ち着かせようと私の手を何度も優しく擦った。
そうだよね。
きっと、何かあったんだ。やむを得ない事情が。
カフェの窓から外を見ると、白い雪がしんしんと地面に降り注いでいる。
「結構降ってきたわね」
母が心配そうに外を眺めていた。
車・・・今日は雄馬さんは車だったっけ。
天気予報で路面が滑りやすくなってるって言ってた。
いや、でも雄馬さんのことだからきっと慎重になってるはずだから大丈夫。
必死に自分の心に言い聞かせた。
その時、母の携帯が鳴った。
母は私の顔を見て頷くと、携帯を自分の耳元に当てた。
「あんなイケメンにメロメロに思われて、聞いてるだけでお母さんまでドキドキしちゃうわ」
私は雄馬さんと付き合うことになってから、今一緒に暮らしていることを伝えた。
「え?同棲してるの?」
さすがに母はその点については目を丸くして驚いたけれど、その後優しく微笑むと、
「その方が安心だわ」と頷いた。
「チナツ、変わったわね。自分に自信をもって前に進んでるように見える」
「そうかもしれない。雄馬さんに出会ってからだと思う」
彼の言葉や手や唇に触れる度に、私はいつのまにか今の私に到達していたから。
「あなたにとって雄馬くんとの出会いは必要な出会いだったのね」
「うん、お母さんと水谷先生みたいにね」
私は舌をペロッと出して笑った。
「そうね。お母さんと水谷先生までにはまだ至らないと思うけど」
母は、顔を少し上に向けておどけた調子で私を見下ろした。
「恐れ入りました」
私は母に呼応するように笑いながら頭を下げた。
母とイタリアンレストランで別れた日、こんなにも早く今日みたいな日が訪れるなんて思いもしなかった。
私が雄馬さんからもらった色んな力を、母もまた水谷先生からもらっていたんだね。
母の穏やかな表情から、私の知らない母と水谷先生の2人の日々を想った。
尽きない話で盛り上がりながら、気がついたら雄馬さん達と合流する17時を少し回っていた。
「あ、そろそろ2人が来る時間だよね」
母も腕時計に視線を落とした。
「そうね。もうすぐ来るわね」
そう言いながら、私達はお冷やで喉を潤していた。
でも、17時半になっても18時なっても2人は現れなかった。
電話をかけるも雄馬さんの電話は留守電になっていた。
胸の辺りがざわざわしている。
なんだろう。こんなこと今までなかったのに。
不安な私を見て母は、
「きっと論文発表が押してるんだわ。もしかしたら、雄馬くん、緊急患者が入って対応に追われてるのかもしれない」
と言い、気持ちを落ち着かせようと私の手を何度も優しく擦った。
そうだよね。
きっと、何かあったんだ。やむを得ない事情が。
カフェの窓から外を見ると、白い雪がしんしんと地面に降り注いでいる。
「結構降ってきたわね」
母が心配そうに外を眺めていた。
車・・・今日は雄馬さんは車だったっけ。
天気予報で路面が滑りやすくなってるって言ってた。
いや、でも雄馬さんのことだからきっと慎重になってるはずだから大丈夫。
必死に自分の心に言い聞かせた。
その時、母の携帯が鳴った。
母は私の顔を見て頷くと、携帯を自分の耳元に当てた。