死なないヒト
何の意思も感じない、冷たい握手だった。
「では、また会いましょう。」
マアアートはそう告げると、レールと共にカフェを出て行った。
「…。」
トラムはレールと握手した手を動かした。トラムの感覚が予感していた。
「自分がアダムなら、ドクターがイブか?」
トラムは嫌な予感を拭おうと、独り言を言った。そして、吹き出した。
「ドクターはきっと、こう言うだろう。『神』だと。」
トラムは窓の下に見える、マアアートとレールの後姿を見送った。