死なないヒト
「ふーん。」
メールを読んだ男…トラムは言った。
俺、すごいんだな…
トラムは自嘲すると、立ち上がった。
「トラム!一杯やろうぜ!」
大男が突然、部屋に入ってきた。
「ゲイトか。それより、無理やり手動でドアを開けるな。管理の奴に怒られるのは俺なんだ。」
そう言ったトラム自身、あまり気に掛けていなかった。いつもの事なので、挨拶のようなものだった。
「分かったよ。でも、俺は機械任せっていうのは、嫌いなんでね。ドアくらい、自分で開けさせてくれ。」
ゲイトは持ってきた酒瓶をテーブルに置いた。トラムはいつも通り、2人分のグラスと氷を持ってきた。
「クローン権をもらった。」
トラムはそう言うと、ゲイトが持ってきた酒を注いだ。
「え?」
トラムの一言に、ゲイトは驚いた。グラスを取ろうとした手は、グラスに届く前に止まった。
「上は俺を兵士として評価したらしい。永遠に働かしてくれるそうだ。」
トラムは笑って、ゲイトの止まったままの手にグラスを握らせた。
「で、どうするんだ。クローン権を取るのか?拒否も出来るんだろう?」
ゲイトは興味津々で聞いてきた。
「…。戦う事は俺の天職だと思う。それに、俺はそれしか出来ない。俺は強すぎたのかもな…。」