紅の葬送曲
彼はシャツに赤黒いシミを残し、壁に寄りかかりピクリとも動かない。
「寿永隊長!しっかりしてください!」
肩を掴んで揺らすと、寿永隊長は小さく呻きながらゆっくり目を開ける。
「何故……、お前が此処に……?」
「後で話します。それより、何で服を着たまま水なんか浴びてたんですか!?まだ4月ですよ、風邪引いてしま──」
「体が熱いんだよ……。どうしようもないくらいに……」
「え……」
私が彼の肩に触れる限り、彼の体は水を浴びていたせいか冷えきってしまっている。
それなのに、熱いって……。
「と、とりあえず、そのままでは風邪を引いてしまいます」
私は彼の腕を肩に回すと立ち上がり、ぐったりしたままの彼をベッドまで運ぶ。
ベッドに着くなり、寿永隊長は倒れこむようにしてベッドに横になった。