紅の葬送曲
アザは左肩から胸にかけての肌を赤黒く変色させていた。
もしかして、これが紅斗が言っていた切碕の呪い?
でも、朝は何もなかった。
なのに、何で今になって出てきたの?
これがもし、呪いならさっきの彼の吐血も──。
「うぅ……」
半ば意識を失いかけている寿永隊長の呻き声に、私はハッとした。
彼の顔を見ると、私は再び動揺する。
彼の固く閉じられた瞳から一筋の涙が溢れ落ちていたから。
「父さん……」
すがるように弱々しく父を呼ぶ声を聞いてしまったから──。