紅の葬送曲
本当の子供じゃなくても、あの人は彼女を大切にしていた。
だからこそ、あんなにお人好しで優しい子に育ったんだろう。
──じゃあ、俺は?
『凌、貴女が産まれたのは寿永の呪いを一身に受けるためよ。時が来たら抗わず、死を受け入れなさい』
幼い頃に戒めのように母から言われた言葉。
自分の子供にでもそんなことを言える親に、自分の子供じゃないのに愛情を与えられる親。
どちらが良いかなんて、考えなくても分かることだ。
でも、父さんは俺に生きろと言った、運命に抗えと言った。
だけど、俺は分からない。
生きることにも死ぬことにも興味無いし、何にも感じない。
そういう俺はどうすれば良いんだ?
「あー、もう何もかも面倒だな……」
両手で顔を覆ってポツリと呟くと、再び俺は目を閉じた。
≪凌side end≫