紅の葬送曲
~♪~♪~♪~♪
ふと、テーブルに置いていたスマホに着信が届き、ハッとした。
ディスプレイには昨日警察署内の食堂で会ったっきりの琉ちゃんの名前が映し出されていた。
「……もしもし?」
『もしもし、紅緒か?沈んだ声してるけど、何かあったのか?』
さすがは幼なじみ。
電話越しでも声を聞いただけで、私の変化に気付いてくれる。
でも、これは琉ちゃんに言った所で解決するような悩みでもない。
「別に……。ただ、疲れてるだけ」
『本当か?』
「うん。琉ちゃんこそ、電話なんかしてきてどうしたの?」
琉ちゃんは私の言葉に納得していない様子だったけど、私は話題を変える。
『いや、元気にやってるかなーって思ってさ』
「昨日の今日で私は変わんないよ、琉ちゃんじゃあるまいし」
そう言えば、電話越しで琉ちゃんが『何だとー!』と抗議してくる。