紅の葬送曲
「今のは言い過ぎだ……」
小鳥遊君の隣で下を見ていた小鳥遊さんも私と同様に不快感を抱いていた。
小鳥遊姉弟のおばあさんは小鳥遊潮……つまり、人体実験で産まれた人間だ。
人体実験で産まれた人間を否定されるということは祖母を否定され、その血を4分の1も引く自分達までも否定されているようなものだ。
不快感を抱かないわけがない。
「作られた人間だって、同じ人間なのに……」
私はビルの上から下を見ながら、手すりをグッと握り締めた。
「綺麗事だな。あいつらはそんなことを思っていないからああやって抗議してるだろ」
すると、私の隣にいる寿永隊長が呆れたようにため息を吐いた。
視線を横に向けると寿永隊長は手すりに頬杖をついて、冷めた目で下を見下ろしている。