紅の葬送曲


「一人で守ろうとしないで皆に頼れば良いのに……」




無意識に出た言葉に、小鳥遊君は小さく笑った。





それは悲しそうな笑顔だった。





「頼り方を知らないんだよ、凌は……。小さい頃から人に頼らず生きることを望まれていたからね」





「何で……?」





「それが三名家、寿永を背負う者の運命だからだよ」




三名家という言葉で全てを理解した。





日本に数ある名家の中で最も影響力があり、最も高貴とされるのが三名家だ。





その影響力は彼らがいなければ日本経済が回らないほどで、その高貴さは皇族に勝るとも劣らない。





そんな名家に産まれた人はどれだけの重圧を抱え、どれだけの責任を負っているのか一般人の私には分からない。





でも、普通の人なら潰れてしまう程の重みを抱えているのだろうとは感じ取れる。





そうじゃなかったら、寿永隊長が笑ってくれるはずだ。





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