紅の葬送曲
私は彼に仕えて数日しか経っていないけど、一度も彼の笑顔を見ていない。
笑えないほどの重圧が彼を苦しめているんだと思う。
すると、頭に軽い重みを感じたかと思うとポンポンと撫でられた。
「でも、俺達以外にもそんな風に思ってくれる人がいるなら凌も安心だね」
小鳥遊君は私の頭を撫でながらにかっと子供のように笑った。
同期とはいえ、年下に頭を撫でられると何かむず痒い。
「私の方が一つ上なのに、子供みたい」
「確かに浅井ちゃんは年上って感じがしないな。敬語使わないと!ってならないし」
「え、酷い!」
子供みたいなやり取りをしていると、
「おい、いつまでぺちゃくちゃ話してる!帰るぞ!」
階段下から寿永隊長の怒鳴り声が聞こえて、私と小鳥遊君は慌てて階段をかけ降りるのだった。