紅の葬送曲
「凌……」
俺はソファーから立ち上がると泣きそうになる志摩の頭を撫でた。
「心配してくれてありがとう、二人とも」
そう言ってくれる二人だから俺は守りたいんだ。
「馬鹿……」
悪態をついた詩依も唇を噛んで俯いていた。
この二人の呪いはまだ深くない。
今のうちに解いてしまえば、これからも生きられる。
だから、紅斗。
俺はお前を捕まえて、呪いを解かせる。
そして、お前の父親の罪をお前に刻み付けて、殺された人と同じ苦しみを味合わせてやる。
自分が生まれてきたことを後悔させて、悲観しながら逝かせてやる。
だから、待っていろ。
俺はこの時知らなかった。
紅斗の他にも切碕の子供がいることを。
その子供がすぐ近くにいることを──。