紅の葬送曲
Ⅱ
同時刻。
「それで、あのお二人は?」
寿永隊長と席をはずすように言われた私は小鳥遊姉弟と共に、翔鷹本部近くにある女性がモチーフの某有名コーヒー店に来ていた。
私は春限定のドリンクをホットで、小鳥遊さんはほうじ茶ラテ、小鳥遊君はホイップとチョコを増量にしたチョコのドリンクを頼んだ。
「ああ、あの二人は凌の幼なじみで三名家の次期当主達だよ。細身で儚げだったのが蓬條詩依さん、ショートカットで人懐っこそうだったのが藤邦志摩ちゃん」
小鳥遊君はホイップを掬って食べていたスプーンを加えながら教えてくれる。
でも、途中小鳥遊さんに「行儀悪いぞ、江」とスプーンをもぎ取られていた。
一瞬、小鳥遊君の見た感じを伝えてきた説明に戸惑ったけど、彼女達のイメージ通りだったから何とも言えない。
「やっぱり、三名家の人達だったんだ。どうりで普通の人と雰囲気が違うと思った……」
彼女達を見たとき、寿永隊長と同じ高貴な雰囲気が感じられた。
育ちのよさが感じさせられるというか、住む世界が違うというか……。