紅の葬送曲
「来ると思っていたよ、凌君」
殺気を込めた目を向けられているというのに、紅斗はさっきと変わらない薄笑いを浮かべている。
そんな紅斗に、寿永隊長は持っていた刀を向ける。
「俺の部下を殺そうとするとは余程俺に殺して欲しいみたいだな、紅斗」
「やだなぁ……、本気で殺そうとした訳じゃないよ。君が来ると分かっていたし、その子が僕の元に来ることを選ぶってことも」
「……こいつに何の用がある?」
「賢い君なら薄々気付いてるんでしょ?」
眉をひそめて険しい顔をする寿永隊長に対し、紅斗は楽しそうに笑っている。
寿永隊長は紅斗が私を欲する理由を知っている?