紅の葬送曲
「翔鷹……」
ポツリと呟くと、ステージの上で話す彼と目があったように感じた。
視線を反らすことを許さない切れ長な怜悧な眼差し。
でも、気のせいだったのか彼は視線を戻して話を続ける。
「今、私の方見た……っ!?キャー、やばーい!」
「何言ってんのよ、あたしよ……っ!」
周りにいる女性の警官がこそこそとそんな会話をしている。
あ、なんだ……別に私と目があったわけじゃないんだ。
自意識過剰だな、私……。
小さく息を吐いて再びステージに視線を向けると、彼の話が終わった所だった。
そして、彼の話が終わって程なくして入職式も終了した。