紅の葬送曲


「翔鷹……」




ポツリと呟くと、ステージの上で話す彼と目があったように感じた。





視線を反らすことを許さない切れ長な怜悧な眼差し。




でも、気のせいだったのか彼は視線を戻して話を続ける。




「今、私の方見た……っ!?キャー、やばーい!」




「何言ってんのよ、あたしよ……っ!」





周りにいる女性の警官がこそこそとそんな会話をしている。




あ、なんだ……別に私と目があったわけじゃないんだ。




自意識過剰だな、私……。




小さく息を吐いて再びステージに視線を向けると、彼の話が終わった所だった。





そして、彼の話が終わって程なくして入職式も終了した。






< 15 / 541 >

この作品をシェア

pagetop