紅の葬送曲
「君は僕の可愛い妹だ。同じ時を母親の腹の中で過ごした双子なんだよ」
妹……双子……。
信じたくない。
震える体を抱き締めていると、肩に手が置かれた。
顔を上げれば寿永隊長が私を見ることなく、紅斗を睨み付けている。
「寿永隊長……」
「……突拍子もないことを言い出したと思えば、お前とこいつが兄妹?笑わせるな」
「僕の言うことは全て真実だよ。僕と紅緒は兄妹で、君が殺したいくらい憎い切碕の子供さ」
ニヤリと笑う紅斗の頬に、寿永隊長が何処からか取り出した針がかする。
「外したか。奴と同じ目を潰そうとしたんだがな」
完璧な寿永隊長が外すなんていつもだったらあり得ない。
でも、外すと言うことは雑念があると言うこと。
つまり、寿永隊長も私の出生の真実に動揺している。
そんな彼の動揺に気付いたのか。紅斗は楽しそうに笑い声を上げた。