紅の葬送曲
「あっはははは!凌君、君が傍にいさせているのは切碕ヒカリの娘。君の父親を死に追いやり、君自身にも早世の呪いをかけた男の娘だ!」
寿永隊長の父親を殺したのが切碕?
それに、寿永隊長にかけられた早世の呪いって……。
話を聞いていて、全て理解した。
寿永隊長の体のことも、彼が言っていた呪いのことも。
耳障りな笑い声を上げながら紅斗はもう一度私の方に手を差し出してきた。
「分かっただろう、紅緒。君は彼らといてはいけない。僕と来るべきだ。僕と来て、父さんの跡を継ごう」
父さんの跡を継ごう……つまり、私に人殺しになれってこと?
──ドクン。
胸の大きく高鳴った。
脳裏に失ったはずの記憶が甦る。
血溜まりの中に倒れる男の人に、その男の人の傍で返り血を浴びている幼い私と紅斗。
そして、その光景を見つめる幼い寿永隊長──。