紅の葬送曲




翔鷹本部に戻ると、私は寿永隊長達に何も言わずにそのまま自室に戻った。





自分の身の上を知ってしまった以上、彼らに合わせる顔がない。





退職届を出して、姿を消そう。




それが叶わないなら、せめて寿永隊長に殺されたい。





彼なら私を殺してくれる。





無気力にベッドに寝転がり、ただ天井を見つめる。





目を閉じれば、忘れてしまっていたことが思い出せさせられる。




でも、おかしい。





忘れていた記憶を思い出したのに、幼い頃の記憶に一緒に生きていた紅斗が出てこない。





双子なら一緒に育ってるはずなのに……。





「もう訳分かんない……」





しんとした空間に、私の声だけが虚しく溶けていく。




声みたいに私も溶けてしまえば良いのに……。







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