紅の葬送曲
「黙ってたら分からないだろ。何か──」
「……殺してください」
「は?」
突拍子もなく私の口から出た言葉に、寿永隊長は眉を上げた。
分かってても、分かってなくてどっちでもいい。
ただ──。
「私を殺してください、寿永隊長……」
私はもう生きている理由が分からない……。
「お前、何言って──」
「もう生きている理由が分からないんです……。生きていても殺人鬼、切碕の娘としてのレッテルが貼られる……。そんな世の中に生きていたくない……」
今は私が切碕の娘なんて誰も知らない。
でも、どこからこの話が漏れるか分からない。
もし、バレたときは間違いなく私は糾弾されるだろう。
仲良くしてくれていた京も琉ちゃんも私の出生を知れば離れていく。
まともな目で見てくれる人がいなくなる。
そんな世の中に生きている理由なんかない。