紅の葬送曲
紅緒、真実は時に残酷だ。
でも、真実から目を背けるな。
この世の全てがお前を敵と見なしても父さんはいつでもお前の味方だ。
本当の子供じゃなくてもお前は大事な俺の子供なのには変わりない。
紅緒、生まれてきてくれてありがとう。
父さんの元に来てくれてありがとう。
強く生きてくれ。
父さんより》
──読み終わると同時に、手紙に涙が落ちた。
自分の出生の秘密を知ってショックだったから零れた涙じゃない。
お父さんの想いが込められた優しい手紙が心に響いて零れた涙だ。
「お父さん……」
私はその手紙を抱き締めると、嗚咽を漏らしながら涙を流した。