紅の葬送曲
「父親のその手紙を読んでもなお死にたいか?」
寿永隊長の言葉に、首を横に振った。
私は強欲だ。
死にたいと思っていたのに、誰かに生きることを望まれただけで生きたいと思ってしまう。
誰かが傷つくと分かっていても生きたかった。
「……俺はお前を殺したいくらい憎い」
「!?」
「何せ、お前が父さんを殺したんだからな」
そうだ、私が寿永隊長のお父さんを殺した。
忘れていた記憶を思い出して、それが本当であることは紛れもない事実。
でも、事実なんだろうけどどうも合点がいかない。
忘れていた記憶を思い出したと言っても全てではなく、寿永隊長のお父さんが血溜まりに倒れる以前の記憶が何故かない。