紅の葬送曲


寿永隊長は頭をグシャグシャと掻くと、ため息を吐いた。




「切碕は生前呪いの類いに精通していた。詳しくは書庫にあるから後で見てみろ」




「はい。それで、その切碕の呪いは何で寿永隊長達の体を蝕んでいるんですか?」





「……自分を産み出し、殺した三名家と国への恩返し……らしいぞ」





「え?」




恩返しなのに、呪い?




意味が分からない。





頭を傾げた私に彼はもう一回ため息を吐くと、またベッドに近づいてきて座った。





「呪いがかけられたタイミングは分からない。が、奴が死んだ直後不幸が続いた。当時の三名家の当主と各省庁の大臣は病に倒れ、急逝したんだ」





当時の当主ということは寿永隊長のお祖父さんかお祖母さんかな。




「当主が変わってからも不幸は続いた。蓬條家では詩依の母親が彼女を産んですぐに昏睡状態に陥り、植物状態までとはいかないが今も眠り続けている。うちは父さんが不治の原因不明の病気に倒れた」



続いた不幸、それは偶然とは思えなかった。




でも、待って。




< 166 / 541 >

この作品をシェア

pagetop