紅の葬送曲



破壊された部屋のドアに、倒れたドアによって傷付いた大理石の床。




毎日日替わりで花が変えられていた廊下にあった花瓶も無残に砕け散っている。




まるで、強盗にでも入られたような惨状に私は言葉が出なかった。




「な、何が起きて……?」




ようやく出た言葉も動揺からかどもってしまう。





「菖が暴れたんだよ。まったく、あの姉弟は……」





寿永隊長は呆れたように頭を抱えると、ドアが壊れた部屋に向かった。





暴れたって……。




後を追って部屋の前に行くと、室内から小鳥遊さんの怒鳴り声が聞こえてきた。





「あの子が切碕の娘だから冷たい態度を取った!?この馬鹿が!」




え、私!?




小鳥遊さんが暴れた理由って私のことで!?





意味が理解できないまま、部屋の中に入ると羽取さんに羽交い締めにされた小鳥遊さんと佐滝さんに庇われている小鳥遊君がいた。




小鳥遊さんも小鳥遊君も紅斗達にやられた怪我は何ともないみたいだ。





ただ、小鳥遊君の顔には殴られたような真新しい跡が残っていた。







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