紅の葬送曲
「寿永隊長、あの……」
「……言いたいことは分かってる。けど、今は黙って見てろ」
話そうとしたら、寿永隊長の指先が私の唇に触れたからそれ以上は話せなかった。
私は彼に言われるがまま、彼と部屋の様子を影から見つめていた。
「江、あの子は確かに切碕の娘かもしれない。だけど、彼女に冷たい態度を取って否定することは母さんや天河叔父さんを否定することと一緒なんだよ!」
小鳥遊さんは羽取さんに拘束されながら目の前の小鳥遊君を睨み付けている。
そうか、この二人の母親と叔父は切碕の姉とされている小鳥遊潮の子供なんだ。
つまり、二人の母親と叔父は私からすればいとこということになる。
複雑だけど、小鳥遊さんの言うことは一理ある。
私の存在を否定したいけどしてしまえば、自分の母親や叔父までもを否定することになってしまう。
それは要するに──。
「あの子を否定したって、私達にも流れてるんだ!切碕と同じジャック・ザ・リッパーの血を……DNAを継いでるんだぞ!?……っ私達自身も否定するつもりか!?」
祖母である小鳥遊潮の血を4分の1引いている彼女達自身までも否定することになってしまう。