紅の葬送曲
「何か言え、江……」
一方的に怒鳴る小鳥遊さんに、小鳥遊君は何も言わずにうつむいているだけだった。
「江!」
「そんなこと俺だって分かってる……っ!」
ようやく口を開いた小鳥遊君の口から漏れたのは怒鳴り声ではなく、悲痛な叫びだった。
「彼女を否定すれば母さんや叔父さん、ばあちゃんや姉さんや俺のことも否定することになる。ばあちゃんの血を引いているのも分かってる」
「なら、何で──」
「でも、アイツは違う!アイツは……凌達は皆を守ろうとしているのに、切碕の理不尽な呪いのせいで苦しんで死ぬんだ!そんなのおかしいだろ!?」
小鳥遊君の言葉に、私は寿永隊長の方を見た。
呪いってもしかして……。
言葉に出さなくても感じ取ってくれたのか、彼は私をチラリと見るとすぐにばつが悪そうに目をそらした。
「……さっき、答え損ねたな」
一瞬何のことか分からなかったけど、すぐに血を吐いたことと体の痣のことだと理解する。