紅の葬送曲


「下らない姉弟喧嘩でドアを壊すな。壊れたドアは江の給与から、花瓶は菖の給与から引くから覚悟しておけ」




下らない喧嘩というのは酷い言い方だ。




二人が喧嘩した原因は私かもしれないけど、結局は寿永隊長を想ってのことだ。





それなのに……。




「ドアと花瓶ならドアの方がマシかな……?」





「いや、花瓶だな。ドアの修理費にはもれなく大理石の床の修繕費もついてるからな」





「大理石の!?此処の大理石ってイタリア産の輸入物じゃなかったっけ!?」




小鳥遊君は寿永隊長の言葉で指を折りながら何か数えると、力が抜けたように肩を落とした。





そんな彼に、小鳥遊さんが近寄ると肩を叩く。





「私にも責任があるから私も修繕費は出すよ」




「姉さん!ありがとう!」





姉の気遣いに、小鳥遊君は目に涙を溜めながら頭を下げていた。





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