紅の葬送曲
とある路地裏。
「──それで、紅緒の様子は?」
そこで二人の青年が闇に紛れながら話をしている。
「さすがに動揺していたよ。でも、仲間になるように促した僕の方には来なかった」
片方の青年は両目が赤く、残念そうな口調とは裏腹に楽しそうに笑みを浮かべている。
「だろうな。でも、それで良いんだ」
「……ああ。僕達の目的はあの男から彼女を守ることだからね。君こそ手紙の件、バレずに出来たの?」
「……多分な。翔鷹の寿永隊長は鋭い人だ、薄々俺が出したってことに気付いてそうだ」
もう一人の青年はバイクのヘルメットを片手で弄びながらもう片方の手で頬を掻く。
「凌君か……。まあ、バレたとしても僕と君の関係は見破れないはずだよ」
赤い目の青年は両手をパーカーのポケットに突っ込むと、空を見た。