紅の葬送曲
Ⅰ
数日後。
「あ、紅緒ー!こっちこっち!」
街中のカフェに入ると、待ってたと言わんばかりに京が手を振ってきた。
「遅くなってごめん!」
慌てて駆け寄ると京に頭を下げて、席に座った。
「大丈夫よ、あんた達翔鷹に比べればただの警察なんて暇だから。それより、紅緒、酷いクマね」
「ぎゃ!?見ないで!メイクで隠せると思ったのに隠せなかったの」
目の下のクマをコンシーラーで隠せると思ったけど、上手く隠せなかった。
私はクマを隠すように眼鏡をバッグから取り出してかけた。
「大変ねー。昨日も夜中に殺人事件が起きて出動になったんでしょ?」
「まあね」
昨日も紅斗の犯行と思われる殺人事件が起きた。
次の日が非番だったし、京と会う予定があったけどゆっくり寝れると思っていた矢先の事件だった。