紅の葬送曲
Ⅱ
「いーやーでーす!離してください!」
私は必死にその場に踏み留まろうと足に力を入れる。
「往生際が悪いな、まったく……」
寿永隊長はそんな私の手を掴み、ズルズルと引っ張りながら歩いている。
「まったくはこっちの台詞です!何で、私が寿永隊長と寿永本邸に行かないといけないんですか!?」
そう、私は彼に強制的に寿永本邸に連れていかれようとしていた。
何で私!?
別に自分の実家なんだから一人で帰れば良くない!?
すると、寿永隊長は足を止めて私の方を見た。
そして、スマホの画面を私に見せてきた。
画面には一通のメールが映し出されていて差出人は≪寿永汀≫、寿永隊長の弟さんの名前になっていた。
「弟からメールが来て、お前のことがあの人にバレたらしい」
あの人ってまさか、寿永隊長のお母さん?