紅の葬送曲
彼が私にそんなことを言ってくれるとは思わなかった。
彼の今の言葉が嘘じゃないと信じられる。
補佐官になった日から今日まで彼は私を守ってくれている。
……なら、私も彼を守りたい。
私は握られた寿永隊長の手をきゅっと握り返した。
「なら、私に寿永隊長を守らせてください。守られるだけなんて嫌ですから」
そう言うと、彼は一瞬驚いたような顔をしてからすぐに苦笑いを浮かべる。
「そう言うと思った。女なら守られて当たり前って感じじゃないからな、お前は」
「当然です。じゃなかったら、警官になんかなりませんよ」
「ごもっとも。さて、と……行きたくないが、行くか」
寿永隊長は私が逃げないと分かると手を離し、先に歩き出した。
手……離れちゃった……。
さっきまで感じていた温もりが無くなって寂しくなりながらも私は彼の背中を追いかけた。